要約
立花宗茂は「西国無双」と称されるほどの勇将で、関ヶ原の戦い後に改易（領地没収）されながらも、後年に旧領へ復帰した唯一の大名です。なぜ宗茂だけがそのような異例の処遇を受けたのか？その背景には彼の人徳、軍功、そして徳川家からの信頼がありました。この記事では、宗茂の波乱に満ちた生涯と復権の理由を分かりやすくひも解いていきます。
ミホとケンの対話
ケン、立花宗茂って知ってる？
えーっと…なんか聞いたことあるような？
“西国無双”って呼ばれたくらい、めちゃくちゃ強かった武将だよ
無双って…ゲームの話？
あはは、そっちじゃなくて、“敵なし”って意味ね。特に西日本では無敵だったの
へー！でも戦国時代って、勝てば官軍みたいな感じじゃない？
宗茂はただの武闘派じゃないの。人格的にもすごく評価されてるの
たとえば？
関ヶ原の戦いに西軍として参戦したあと、父の仇だった島津義弘の撤退を助けたの
え、仇を助けたってどういうこと！？
関ヶ原で敗れた義弘は、撤退中に東軍に追われてたの
めちゃくちゃピンチじゃん！
そこへ宗茂が現れて、討ち取るよう進言する家臣たちを退けて義弘を逃がす手助けをしたって言われてるの
それ、恩を売るためとかじゃないの？
そうじゃなくて、武士の義を通したの。「敗軍を討つは武家の誉れにあらず」って、宗茂は敵にも礼を尽くす人だったのよ
マジで？いい人すぎない？
その後、島津側でも宗茂を名将とする話が残ってるくらいなの
あの戦国時代にそんなフェアプレーする人いたんだ…
すごいでしょ？それに宗茂は戦後、改易されて無職になるんだけど…
え、いきなり無職！？
うん。でもそのあと江戸で静かに暮らして、家臣もほとんど辞めなかったの
人望がある証拠だね
その誠実な人柄が評価されて、後に三代将軍・徳川家光から旧領の柳川藩を与えられるの
えっ、戻れたの！？それって超レアケース？
超レアどころか、改易されたあと“旧領に”大名として復帰できたのは宗茂だけなの
えー！まさかそんな歴史的カムバックがあったなんて…
ね？強さだけじゃなくて、誠実さが歴史を動かすこともあるんだよ
もう完全にファンになった…立花宗茂ってカッコよすぎる！
さらに詳しく
立花宗茂（高野山 大圓院所蔵）
立花宗茂とは？
立花宗茂（たちばな むねしげ、1567〜1643）は、戦国末期から江戸初期にかけて活躍した武将で、「西国無双」と称された屈指の名将です。彼は筑後国・柳川を拠点とし、実父は名将・高橋紹運、そして名家・立花家を継ぐために立花道雪の養子となりました。
その統率力と人徳により、豊臣秀吉からも重く用いられ、豊臣政権下で頭角を現します。
関ヶ原の戦いと改易
1600年の関ヶ原の戦いでは西軍に属し、柳川から出陣します。東軍に味方するよう進言する家臣もいましたが、「秀吉公の恩義を忘れて東軍側に付くのなら命を絶った方が良い」と拒絶しています。
敗戦後、徳川家康により領地は没収（改易）され、浪人となります。通常、改易されれば復帰は不可能に近いのですが、宗茂には例外が訪れます。
父の仇・島津義弘を助けた義の行動
関ヶ原の敗戦後、島津義弘は東軍の追撃を受けながら伊勢方面から撤退していました。彼はかつて岩屋城の戦いで宗茂の父・高橋紹運を討った武将であり、いわば宗茂にとって仇敵です。しかし宗茂はこの義弘軍の危機に際し、追撃を控えるよう働きかけ、撤退の安全を図ったと伝えられています。
この行動には宗茂の武士道精神が強く表れており、敵にも義を通す姿勢が周囲の尊敬を集めました。一部の伝承では、義弘がのちに宗茂を「名将」として讃えたとも言われています。
浪人時代の誠実な生活
改易後、宗茂は加藤清正などから仕官の誘いを受けるも、これを辞退。家臣とともに江戸に移り、謙虚で質素な浪人生活を送りました。
食べ物に困るほど困窮した時期もありましたが、この間も彼に従い続けた家臣が多数おり、人望の厚さを如実に示すエピソードといえるでしょう。江戸では学問や礼法を重んじ、再仕官を急がずに身を律したとされています。
徳川家光による異例の旧領復帰
1620年、三代将軍徳川家光の命により、旧領・柳川藩（10万9千石）への復帰が許されます。これは当時として極めて珍しく、「改易後に旧領・同石高で復帰した唯一の大名」とされています。
宗茂の人格と統治能力が高く評価されていたこと、また混乱を避けるために旧臣による安定した藩政が望まれたことが背景にあります。
復帰後の藩政と晩年
復帰後の宗茂は、無駄な争いを避け、領民の生活安定と家中の秩序に尽力しました。また、浪人時代に苦労をともにした家臣たちを厚く遇し、忠義に報いる姿勢を貫きました。その生涯は、武力に加え、誠実さと義理を重んじた武士として、今なお高く評価されています。
まとめ
立花宗茂は、戦国武将としての武勇に加え、義理・誠実・人望という人間的魅力に満ちた人物でした。父の仇を助けるという信じがたい行動も、その信念の表れです。改易されながらも旧領に復帰した唯一の大名という事実が、彼の人徳と器の大きさを物語っています。
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