要約
アイザック・ニュートンが万有引力を発見するきっかけとなったとされる「りんごが木から落ちるのを見た」という逸話は広く知られています。しかし、これは本当に起こった出来事なのでしょうか?この記事では、ニュートンのりんご伝説の真偽や、その背後にある歴史的背景を詳しく解説します。
ミホとケンの対話

ニュートンがりんごを見て万有引力を思いついたって話、聞いたことある?

あるある!アニメとかでも出てくるやつ!でも…本当にあったの?

実は“りんごの木の下でひらめいた”って話、完全な事実かどうかはちょっと怪しいんだよ

え、えっ!じゃあウソなの!?

嘘とは言い切れないけど、かなりロマンチックに語られた逸話なの

えー、それじゃあ誰が言い出したの?

一番古い記録では、ニュートンの伝記を書いた友人のウィリアム・ステュークリが話してるの

ふむふむ…その人がニュートンから直接聞いたってこと?

そう。ニュートンが高齢になってから、昔を振り返って話したそうよ

じゃあやっぱりニュートン本人の話だったんだ!

そうだけど、彼の話しぶりは“落ちるのを見て不思議に思った”って感じで、ドラマチックに座ってひらめいたってわけじゃなさそう

あ〜、あとから脚色された感じかぁ〜

うん、しかも“りんごが頭に落ちた”って部分は後世の創作って言われてるよ

あれ嘘なの!? 結構信じてたのに!

可愛い話だけどね。でも本質は“なぜ物は落ちるのか”を考えた観察力と発想力にあるのよ

なるほど…てことは、りんごは象徴みたいなもん?

そうそう、“ひらめきの象徴”として語られてるの。ちなみに、ニュートンが見たとされるりんごの木は今でもイギリスにあるのよ

えっ!? それ見に行きたい!まだ生きてるの!?

うん、“フラワー・オブ・ケント”って品種の木で、今も科学の聖地みたいになってる

ニュートンの思いつきが世界を変えたって、やっぱりすごいなぁ…

だから“りんごの話”は完全な事実じゃなくても、彼の偉業を伝える象徴として大事にされてるのね
さらに詳しく

1689年のニュートン(ゴドフリー・ネラー画)
ニュートンと「りんご伝説」の出典
アイザック・ニュートンが万有引力の法則を発見するきっかけとなったという、「りんごが木から落ちるのを見た」という逸話は、世界中で知られています。
この話の最古の出典は、ニュートンの友人で博物学者でもあったウィリアム・ステュークリによる記録です。ステュークリはニュートンと親しく、彼が晩年に語った話を自伝や手紙にまとめました。記録によると、1660年代のペスト流行によりケンブリッジ大学が一時閉鎖され、ニュートンは故郷のリンカンシャーにある実家「ウールスソープ・マナー」で過ごしていたとされています。
ある日、庭にあるりんごの木からりんごが落ちるのを見て、「なぜ物は地面にまっすぐ落ちるのか」と疑問を抱いたことが、後の万有引力の発想につながったというのです。
「頭にりんごが落ちた」は創作?
「ニュートンの頭にりんごが落ちてきた」というイメージは非常に有名ですが、これは後世のフィクションです。ステュークリの記録にも、「りんごが落ちるのを見た」という記述はあるものの、頭に当たったとは書かれていません。
このような表現は、19世紀の子ども向けの書籍や、科学をわかりやすく紹介するための寓話的な手法として広まりました。今日では、多くの学者がこの逸話を「象徴的なエピソード」として受け止めています。
りんごの木は本当に存在する?
今も残る「ニュートンのりんごの木」
興味深いことに、ニュートンが観察したとされるりんごの木は、今でも現存しています。イングランド・リンカンシャー州にあるウールスソープ・マナーの庭にあり、その品種は「フラワー・オブ・ケント」と呼ばれるやや小ぶりの青りんごです。
この木は、暴風や時間によって倒れたこともありましたが、根は生き続けており、接ぎ木などで保存されてきました。現在では、科学者や観光客が訪れる科学の聖地ともなっています。
科学的アプローチとニュートンの天才性
ニュートンのすごさは、「りんごが落ちる」ことをただの自然現象として見るのではなく、それをもとに宇宙全体に共通する法則へとつなげたところにあります。彼はその後、「プリンキピア(自然哲学の数学的原理)」を執筆し、万有引力の法則と運動の三法則を体系的に示しました。
この法則によって、地上の物体の運動と、惑星の運行が同じ物理法則で説明できることが示されたのです。これは、それまで分断されていた「地上と天上の世界」を一つにした画期的な発見でした。
まとめ
ニュートンとりんごの話は、科学史の中でも特に有名な逸話です。実際には“りんごが頭に落ちた”というのは後世の創作ですが、物が落ちる現象から宇宙の法則を導き出した彼の観察力と洞察は、科学の根幹を支える偉業です。りんごは、発見の象徴として今も語り継がれています。
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