要約
幕末の志士として名を馳せた坂本龍馬と中岡慎太郎は、のちに共に薩長同盟の成立に尽力するなど強い信頼関係を築きましたが、出会った当初は決して良い関係ではありませんでした。本記事では、そんな二人の不仲の理由や、どのようにして名コンビへと発展していったのかをひも解きます。
ミホとケンの対話

ケン、中岡慎太郎って知ってる?

えーっと…坂本龍馬と一緒に暗殺された人?

正解!でもね、実はその中岡慎太郎と坂本龍馬、最初は仲が良くなかったの

えっ、そうなの!?てっきり親友同士だと思ってた!

今ではそう思われがちだけど、最初はお互いに全然タイプが違ったのよ

どう違ったの?

慎太郎は超まじめな志士で、土佐勤王党のメンバー。龍馬はどっちかっていうと自由人タイプだったの

性格の違いでぶつかったって感じ?

まさにそれ!慎太郎は龍馬の考えがふわふわしてるように見えたらしくて、最初は嫌ってたの

うわ、意外だな~。なんで仲良くなったの?

龍馬がだんだん行動で信頼を勝ち取っていったの。薩長同盟の話を進めてた頃には、慎太郎も完全に認めてたよ

つまり、慎太郎は実力を見て考えを変えたんだ!

そう。中岡慎太郎って、自分の信念に忠実だけど、柔軟性もあった人なのよ

最初から仲良しじゃなかった方が、後の信頼の深さが際立つね!

うん、だからこそ二人が一緒に命を落としたことにも、すごく重みがあるのよ

その暗殺って…近江屋事件だよね?

正解。1867年、京都の近江屋で二人は同時に襲撃されてしまったの

最後まで一緒だったって、何か切ない…

そうなの。でもその分、二人の信頼関係の深さが後世に語り継がれているのよ

うん…最初の不仲から、よくそこまで信頼し合えたなあ

人間関係って、時間をかけて築くものなんだよね
さらに詳しく

坂本龍馬(国立国会図書館より)
坂本龍馬と中岡慎太郎――幕末を駆け抜けた二人の志士
幕末の日本を語るうえで欠かせない存在、それが坂本龍馬と中岡慎太郎です。
共に土佐藩出身の彼らは、のちに薩長同盟の成立や大政奉還の推進など、日本の近代化を導く立役者となりました。
しかし、そんな二人にも意外な過去があります。それは、「最初はまったくウマが合わなかった」という事実です。
出会いは最悪?最初は不仲だった理由
中岡慎太郎は、土佐勤王党という尊王攘夷を掲げる急進的なグループに所属していました。
とても真面目で実直、義に厚く、ルールを重んじる性格だったため、思想や行動に一貫性がない者には厳しい目を向けていました。
一方の坂本龍馬は、柔軟な発想と広い視野を持つ自由人。
既存の枠にとらわれず、海外の知識を吸収しながら、武力よりも話し合いや経済的アプローチで国を動かす方法を模索していました。
この性格や思想の違いが、慎太郎にとっては「龍馬は信用できない」という印象を生み、最初の出会いでは強い反発を覚えたといわれています。
思想を超える行動力――坂本龍馬への評価の変化
しかし、坂本龍馬は言葉だけの人物ではありませんでした。
彼は脱藩後、亀山社中(のちの海援隊)を組織し、日本初の株式会社のような組織を運営。
さらには敵対関係にあった薩摩藩と長州藩を結びつけ、薩長同盟を成立させるという歴史的快挙を成し遂げます。
これにより、慎太郎の中で龍馬への評価は大きく変わります。
「言ってることは理想的すぎるかと思っていたけど、やってることは本物だ」と感じた慎太郎は、やがて龍馬と協力し、倒幕に向けて共闘するようになります。
二人の最期――近江屋事件
1867年11月15日、京都の醤油商「近江屋」で坂本龍馬は襲撃され、その場で即死。
その場に居合わせた中岡慎太郎も深手を負いながらも命をつなぎ、2日後に絶命します。
この事件の犯人は、幕府側の見廻組という説が有力ですが、いまだに確定的ではありません。
ただひとつ確かなのは、二人が共にその場にいたという事実です。
生き方は違えど、最後は同じ場所で命を落としたその姿は、志を共にした者たちの象徴として語り継がれています。
歴史に刻まれた友情と信頼
坂本龍馬と中岡慎太郎の関係は、最初から仲の良い「親友」ではありませんでした。
思想の違い、性格の違い、行動原理の違い――そのすべてが衝突の原因となりました。
しかし、坂本龍馬の先を見据えた行動力、そして中岡慎太郎の誠実さと柔軟性が、
二人の間に「本物の信頼関係」を築いていきました。
そしてその信頼は、近代日本の夜明けを支える力となり、
やがて幕末という激動の時代を乗り越える原動力となったのです。
まとめ
坂本龍馬と中岡慎太郎は、初対面では思想や性格の違いからお互いを好ましく思っていませんでした。しかし、龍馬の行動力と信念が次第に中岡の心を動かし、二人は幕末における最重要人物の一人として協力するようになりました。最期を共にしたこともあり、深い信頼の象徴として語り継がれています。
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