要約
ナポレオンは戦争中の兵士たちの食糧問題を解決するため、保存食の開発を推進しました。その結果として誕生したのが、現代でもおなじみの「缶詰」です。この記事では、ナポレオンがどのように缶詰の発明に関わったのか、その背景や発明者ニコラ・アペールの功績を紹介します。
ミホとケンの対話

ナポレオンって聞くと、戦争のイメージ強いでしょ?

うんうん!背がちっちゃくて、手を胸に入れてる人!

それそれ(笑)でもね、実は“缶詰”とすごく関係あるんだよ?

えっ!?ナポレオンと缶詰って、どうつながるの?

ナポレオンって遠征が多くて、兵士の食糧確保が課題だったの。

あ〜確かに、戦争中に食べ物腐っちゃったら大変だよね…

そうそう!それで『保存食を発明した人に賞金を出す!』って募集を出したの。

えっ、グルメなだけじゃなかったんだ!すごい!

そこに名乗りを上げたのが、フランスの料理人ニコラ・アペール。

どんな人だったの?

もともとお菓子職人でね。食材を瓶に詰めて加熱すれば腐らないって発見したの。

えー!電子レンジも冷蔵庫もないのに!?

そう、彼は1809年に『アペールの瓶詰法』として発表して賞金をゲットしたの。

でも瓶じゃ持ち運び不便じゃない?

その通り!だから後にイギリスで“金属の缶”が使われるようになって、今の缶詰につながるのよ。

おお〜!戦争って食の技術まで進化させるんだね!

その通り!だから後にイギリスで“金属の缶”が使われるようになって、今の缶詰につながるのよ。

おお〜!戦争って食の技術まで進化させるんだね!

うん、今じゃ当たり前の缶詰だけど、戦場を支えた発明だったんだよ〜

ナポレオン、意外とイノベーターだったのかも…

うん、軍人だけじゃなくて、歴史を動かすアイディアマンだったのよ♪
さらに詳しく

サン=ベルナール峠を越えるナポレオン・ボナパルト(作者:ジャック=ルイ・ダヴィッド)
ナポレオンと食料問題
ナポレオン・ボナパルトは遠征型の軍事戦略を展開したことで知られていますが、それに伴う最も深刻な課題の一つが「兵士の食料確保」でした。従来の保存方法では、長期遠征や過酷な環境で食品がすぐに腐敗し、士気や戦力に大きな影響を与えていました。
1800年代初頭、ナポレオンは「兵士は胃袋で戦う」という信念のもと、政府として保存食開発の公募を実施。これにより、軍事的必要性が技術革新を生むことになったのです。
ニコラ・アペールの瓶詰め発明
公募に応じたのが、フランスの料理人ニコラ・アペール(Nicolas Appert)でした。彼は食品をガラス瓶に密封し、熱湯で加熱殺菌するという画期的な方法を考案しました。
この方法により、食品は腐敗せずに数ヶ月間保存可能となり、兵士に安定した食事を提供できるようになったのです。1809年、アペールはこの発明によってフランス政府から1万2000フランの賞金を授与されました。
缶詰の誕生と発展
しかし、アペールの瓶詰めは重くて壊れやすいという課題がありました。これを解決したのが、1810年にイギリス人ピーター・デュランド(Peter Durand)が開発した金属缶による保存法です。
デュランドはブリキ缶を用いた密封技術を特許化。これにより瓶より軽く、輸送や携帯に優れた保存容器として缶詰の原型が誕生しました。最初の缶詰ははんだで密封され、開封にはハンマーとノミが必要という難点もありましたが、改良が進み、19世紀後半には缶切りも登場し利便性が大幅に向上しました。
戦争から家庭へ:缶詰の普及
19世紀を通じて缶詰は軍事用・探検用として活用されましたが、やがて商業生産が始まり、家庭にも広まっていきました。第一次世界大戦では各国の兵士に缶詰が配給され、保存食の重要性が再認識されました。
その後、缶詰は非常食、災害備蓄、アウトドア用食品としての役割を担い、現代の私たちの食生活に欠かせない存在となっています。
軍事が生んだ食品革命
ナポレオンの公募がなければ、アペールの発明もなかったかもしれません。そして、アペールの瓶詰めがなければ、金属缶の缶詰も誕生しなかったでしょう。つまり軍事ニーズが食文化の発展を後押ししたのです。
このように、缶詰の歴史は単なる食品の話ではなく、技術革新と人間の生存戦略が交差したドラマでもあるのです。
まとめ
ナポレオンの軍事戦略がきっかけとなり、缶詰の発明が生まれました。フランスの料理人ニコラ・アペールが瓶詰め保存法を発明し、さらにイギリスのピーター・デュランドが金属缶による保存技術を確立しました。これらの発明は戦場だけでなく、私たちの食卓にも大きな影響を与え、現代の食品保存技術の基礎となっています。軍事的ニーズが生んだ技術革新が、今なお私たちの生活を支えているのです。
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